2017年8月9日水曜日

北京~ウランバートル 国際列車27時間の旅(3)

(2)から続く

夕食は中国製の食堂車
国境の駅、二連まで、まだかなりあります。途中、横になってうとうとしたりしたあと、夕食を食べに食堂車へ行きます。午後7時。外はまだ明るいです。中国の間は中国車の食堂車で、そのあとはモンゴル車に変わるとのことです。

 メニューを見ると、中国語と英語。けっこう安いです。3人で食べて、ビールを2本飲んで、79元(約1422円)。そのメニューで朝食を見ると、10元とか書いてあります。翌朝、この車両はモンゴル車になることは知っていましたが、朝食の相場はそんなものだろう、と頭の中に入れました。

あと1品とビール2本を加えて3人で食べ、
1422円でした
しかし、この列車の乗客全員がこの食堂車を使ったら、まかない切れないでしょう。カップラーメンとか、何かを持って乗っている人が多いのだと思います。自分たちも、日本で寝台特急カシオペアに乗った時は、食堂車は使わず、上野駅で駅弁を買って乗りました。

 朝はどうしたんだったかな? あっという間に「食堂車は満席です」というアナウンスが流れ、結局、食べなかったような気がします。札幌着が午前11時くらいでしたから、我慢したような記憶があります。いや、上野でパンを買っておいたような記憶も。年ですね、1年半前のことが思い出せません。

国境の町、二連。16年前とほぼ同じ感じでした
夜10時近く。いよいよ国境の町、二連です。16年前の記憶がよみがえってきました。ほとんど変わりのない駅舎。でも、当時は北京発が早かったので、夜10時近くということはなかったように記憶しています。

 ここは3時間停車します。ここで全車の車両を付け替えるのです。中国とモンゴルはレールの幅が違うので、そうしないとモンゴルの線路へ行けないのです。その作業が約3時間、かかるんです。

 ずっと前、そのことを知った時、お客さんに乗り換えてもらえば簡単じゃないか、と思いました。でも、やっぱり面倒くさいです。長時間の旅なら、部屋である程度の荷物を出してのんびりします。それをまた整理して車両を移るのはバカバカしい。まして夜なら。

 車両を付け替えるこのやり方しかないのかな、と思いました。この車輪の付け替え、この町のひとつの売りになっているみたいです。列車に乗っていては、中からした見られませんが、本当のマニアはこの町に泊まり、許可をもらって車庫の中で見学できるみたいです(詳細は不明)。後で分かりましたが、貨物は車輪を変えるのではなく、荷物をすべて移し変えるのだそうです。

車庫の中(車窓から撮影)。オレンジ色の
コンベアで車両を持ち上げます
この駅で下車する人を下したあと、列車は車両基地へ向かいます。車庫に入り、1両切り離すごとに、ガチャコンという音がします。私たちは5号車。前の電源車+1~4号車とが切り離されたあと、来た方向へ引き返しました(この時、私達の車両が一番後ろ)。ある程度まで引き返したあと、今度はその隣の線に入ります(この時、私達の車両が先頭で進みます)。

 16両が1列で作業をするのではなく、6両くらいずつ3列(最後の1列は3~4両?)に並んで作業するみたいです。私達が停まった車両の隣には1号車の前にあった電源車みたいな車両があり、車両が早くも浮き上がっていました。両横からコンベアーみたいなものを差し、車体を持ち上げるのです。車輪の付け替えが始まったのでしょう

車窓から見えた看板。車両の付け替えをするのが
観光名物のひとつになってるみたいです
浮き上がったその電源車は、車体と車輪が完全に離れました。しばらくすると右側から新しい車輪がまとまってやってきます。6両分の車輪が来て、今まで使っていた車輪を押し出します。最初は機関車みたいなのが押していると思ったのですが、作業員が押していたみたいです。

 新しい車輪が各車両の下にセットされると、今度は車両が下がっていきます。でも、ここで不思議に思いました。前の車輪と新しい車輪、同じレールの上を走っているのです。ということは、車輪の幅は同じなのではないでしょうか。それなら、なぜ付け替える必要があるのでしょうか。

車輪の付け替え作業
もしかしたら、10cmくらい違っていて、ゆっくりなら同じレール幅を通れるけど、速いスピードなら、それができないのかもしれません。後日、このあたりの疑問を解決しようと思いました。

 次に私達の車両が浮き始めました。妻はもう寝始めています。辛うじて上がるところまでは起きていましたが、そのあたりで意識がなくなったと、後で言っていました。子供は、まだ頑張って起きています。車両が完全に上がったあと、デッキに行って後ろを見てみると、車輪が待機しています。6両が浮き上がるのを待っているのでしょう。

 しばらくして、その車輪が動き出しました。線路をよく見ましたが、線路が動いて幅が変わったとかには見えない。同じ線路で移動している。なぜ付け替えの必要があるのか、疑問でした。

 《注》
 日本へ帰ってネットでじっくり調べました。線路の幅は、モンゴル側が1520mm、中国側が1435mm。すなわち85mm(8・5センチ)違っているのです。しかし車庫内は、私の予想通り、その両方の車輪が乗ることができるような幅になっているそうです。
 8・5センチ差では、3本や4本のレールを敷くことができず、そうなっているそうです。直線で辛うじて動くことができる中間幅であり、スピード制限があるみたいです。

平原が続いた中国からモンゴルへの途上


隣の車両。車両と車輪が完全に離れています
最後にコンコンとたたいて、音を確かめていました

(4)へ続く


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